2024年のCESは、1月にアメリカ・ラスベガスで開催され、消費者向け家電業界最大のイベントとして、「All On」をテーマに掲げました。 近年、急増する関心と投資が続いている人工知能の商用化に向けた企業の取り組みは、日常生活の中でより目に見えるものになってきており、 あらゆる産業における人工知能化が進んでいることを示しています。 インターネットが現在の私たちの生活に当たり前のものとして存在するように、人工知能の日常的な適用に関する静かな革命が急速に進んでいます。

2016年、世界中から注目を集めたグーグルの人工知能囲碁プログラム「アルファ碁」は、ニューラルネットワークを基盤に、 自ら囲碁を学習し、何百ものシナリオを実行することで、人間との対局で勝利しました。 この事例はその後、人工知能の可能性について非常に説得力のある例となりましたが、 囲碁という分野に人生を捧げてきた相手のプロ棋士にとっては悲しむべきことでした。 さらに、囲碁をする主体が人間であるという当たり前の前提を思い出させてくれた出来事でもありました。 会話相手としてのチャットボット、運転を担う自動運転車、文章の内容を要約したり翻訳したりする生産性関連のデジタルツールは、 すべて人間の相対的な役割から生まれた技術的な企画の産物です。 アップルのVision Proは、人間の視覚、触覚、聴覚などの感覚を基にした体験拡張の試みであり、 障害者向け補装具メーカーの「マンドロ」のロボット指義手「Mark 7D」は、人間の活動を再生する手助けをしています。

しかし、このように拡大していく技術的な飛躍に対する関心の裏には、人類の歴史の始まりから現在まで存在してきた「身体」があるという点を、 今後より意図的に語っていく必要があるでしょう。 私たちの存在の最も基本的で感覚的な要素である肉体に焦点を当て、歴史的な再交渉を目撃していると言えるからです。

もし、私たち自身と周りの世界とつながっている身体に対する基本的な視点が変わってきているのであれば、 その代わりとなるものは何か、私たちが誰かを欲望し、彼らとつながっていると感じている現在の基準は何なのか、 物事や企業、さらには人間と人間が相互作用する方法がどのように変化していくのか、 改めて確認していく必要があると言えるでしょう。 新しい理想と欲望、身体との関係が具体化していくにつれて、 コンピューティングからバイオテクノロジー、材料科学に至る新技術、 ビューティーケアから自動車に至る新製品、 そして持続可能性への投資を検討する企業にとって、 変化していく私たちと身体の関係を理解することは、 将来の商業的な機会を予測する上で重要な役割を果たすでしょう。

身体に関する概念は、歴史を通して重要な関心事でした。 学者たちは、21世紀に入って、身体と人間の関係を「忘却」と定義していますが、 これは、さまざまな技術が、実際の有機体がどれだけ悪臭を放ち、老化し、死んでいくのかを忘れさせている、 現在の「完璧な身体」に向けた社会的な関心の変化を反映した表現と言えるでしょう。 しかし、一方で、社会的な議論、美学、消費、技術、生物学的革新など、 ほとんどすべての分野において、 以前の人間の身体に対する論理的で中立的な思考様式から脱却し、 制御できない、感じられ、熱情的な方向、つまり身体を身体そのものとして受け入れる変化も確認されています。

新しい性的革命として、性別と性的指向に対する社会的な受容は、より広範囲に受け入れられるようになっており、 食品やバイオテクノロジーの分野では、人工的なものを自然なものとして受け入れられる製品や治療法を提示する能力が大きく進歩し、 腸内細菌叢など、私たち自身の身体の周りの未知の生命体に対する魅力を再発見しています。 このような身体そのものへの没頭と身体機能の拡張の試みとの間の緊張関係は、 今後も続くと予想されます。 これに関して、次の3つのトピックについて、より具体的な質問と関心を抱く必要があります。

第一に、セックスと親密さは、独身主義や出生率の低下などの社会現象を通して見ると、 消費者の間では以前よりも個人的な話題になっていると言えます。 セックスアピールのような古典的なマーケティング戦略の検討において、誘惑の目的が新しくどこに向かっているのかを確認する必要があります。 第二に、自然と腐敗は、生き生きとしたように見える天然素材による美学に対する関心を意味するテーマです。 以前の抽出パラダイムを超えようとする、現在の自然でさえ、最適化の対象として見なす、 新しい大衆的な美学とは何かを理解する必要があります。 第三に、技術と身体は、次世代の拡張現実と仮想現実という目的の下、 私たちが自分の身体との間に築く新しい関係を確認できるテーマです。 人間と機械の相互作用、 物理的な世界とデジタル世界における技術の可能性を理解するためには、 身体を基準として事業的、社会的適用可能性を確認する必要があります。

参考文献

CES: 人工知能

「韓国が곧ブランド」… KOTRA、歴代最大統合韓国館を構える [CES 2024]

プロ棋士を負かしたグーグルの人工知能「アルファ碁」勝利の秘訣は？