企業が発行する年次報告書には、大きく分けて以下の3つの隠れた意図が込められています。
- 株主:業績確認と運営に対する評価
- 代表:状況報告、株主への納得
- 実務者:埋めなければならないというプレッシャー
通常、「インサイト」関連の業務を担当する人にとって、「数字」はぎこちなく、あるいは何となく目をそらしたくなる指標です。しかし、代表という肩書を持つ人々の役割は、単に高い売上高ではなく、株主に収益をもたらすことにあるため、会話の際に最低限の情報として、企業経営に関連する数字を確認しておくと良いでしょう。
つまり、無責任な外部者として年次報告書をざっと目を通す理由は次のとおりです。
- 潜在顧客との会話の前に、経営陣の悩みと企業内部の課題を確認する
- 営業のためのプロジェクト提案テーマの確保
見る方法は簡単です。
- 華美な表現で埋め尽くされた内容を後回しにして、後ろの方にある数字がある箇所まで移動する
- 四半期ごとの投資状況、業績集計に関する内容を中心に確認する
- 関連する企業記事を確認することで、意思決定の方向性を確認する
企業記事は外部に公開したい情報で満たされ、年次報告書には内部的に認めなければならない情報が含まれていることが、両者の最も大きな違いです。
そもそも業務と役割が異なるため、年次報告書を見るだけでは具体的な状況を理解するには限界があるのは明らかです。しかし、少なくとも数字という企業経営陣の言語を理解する機会にはなり得ます。
参加者の言語を使って会話を試みることは、調査テーマや地域に応じて当該言語で調査に取り組むことと同じ、基本的な条件の充足でもあります。むやみに数字を避けるのではなく、これくらいは確認し、経営を担う潜在顧客の状況や立場を理解しようとするならば、会話の際に予想以上に多くのことを学ぶことができ、その後の過程で継続的な支援を引き出す関係の土台にもなります。
コメント0